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美容医療の未承認薬・医療機器は賠償責任保険で補償される?
製品ごとに確かめる3つのこと

2026年10月29日公開

目次

  1. 美容医療では、国内未承認の製品が使われる場面が多い診療指針が示す承認状況。
  2. 賠償責任保険で問われる「承認」とは承認・許可が条件になる製品と、医療機器のクラス。
  3. 「成分は承認済み」でも、製品として承認が要る確かめる単位は、使う製品です。
  4. 製品ごとに確かめる3つのこと種類とクラス、承認を受けた国、自家製に当たらないか。
  5. 補償の対象でも、説明と同意は欠かせない補償されることと、使ってよいかは別の話です。
  6. よくある質問国内未承認なら補償されない? 保険会社に問い合わせられる?
  • 国内で未承認の製品を使った施術でも、補償されないとは限りません。条件は、製品の種類と、承認・許可の状況によって変わります
  • 医薬品・薬剤とクラスⅣの医療機器は、国内外いずれかの規制当局で、製品として承認・許可を受けていることが条件です
  • 条件を満たさない製品を使うと、賠償責任保険も弁護士費用保険も支払われません。使う製品ごとに確かめておきましょう

美容医療では、国内で承認されていない医薬品や医療機器が使われることがあります。こうした製品を使った施術で事故が起き、損害賠償を請求されたとき、賠償責任保険で補償されるのでしょうか。

この記事では、当社が取り扱う美容医療賠償責任保険(引受:ユニバーサル少額短期保険)を例に、補償の条件と、使う製品ごとに確かめておきたいことを整理します。

美容医療では、国内未承認の製品が使われる場面が多い

厚生労働科学研究の研究班が関連学会の協力を得てまとめた「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」は、施術ごとに、推奨の度合いとあわせて、執筆時点の承認状況を示しています。たとえば、次のような施術です。

施術指針の推奨承認状況(指針の執筆時点)
HIFU(高密度焦点式超音波)によるシワ・タルミの治療弱く推奨すべて国内未承認
顔のシワへのヒアルロン酸製剤の注入弱く推奨承認品もあるが、未承認品も広く使われている
表情ジワへのボツリヌス菌毒素製剤強く推奨承認品もあるが、未承認品も広く使われている
スレッドリフト弱く推奨承認品はなく、未承認品のみ
IPLによる脱毛弱く推奨承認された機器もあるが、未承認の機器も広く使われている

※美容医療診療指針(令和3年度改訂版、2022年)から当社がまとめました。推奨は、いずれも治療を希望する患者に行うことを推奨するものです。承認状況は指針の執筆時点のもので、その後に変わっている場合があります。

指針で推奨されている施術でも、国内で承認されていない製品が広く使われていることが分かります。

ただし、表の「国内未承認」は、そのまま「保険で補償されない」という意味ではありません。賠償責任保険で問われるのは、製品の種類(医薬品か、医療機器か。医療機器ならどのクラスか)と、国内外のどこかで製品として承認・許可を受けているかです。

賠償責任保険で問われる「承認」とは

美容医療賠償責任保険の約款では、承認・許可を受けていない次の製品を使った医療行為を、保険金を支払わない場合としています。

承認・許可が条件になる製品

  • 医薬品・薬剤のすべて
  • 医療機器のうち、クラスⅣのもの

これらは、厚生労働省、米国FDA(食品医薬品局)、各国の医薬品等の監督行政機関のいずれかで、承認・許可を受けている必要があります。医療機器は、EUのCEマークが付いていれば、許可を受けたものとして扱われます。

つまり、国内で未承認でも、米国FDAなど海外の規制当局で承認・許可を受けていれば、この条件には当たりません。クラスⅠ〜Ⅲの医療機器は、国内外で未承認でも、この条件には当たりません(ほかの条件はあります)。

医療機器のクラス

医療機器は、不具合が生じたときの人体へのリスクに応じて、4つのクラスに分けられています。補償の条件で承認・許可が問われるのは、クラスⅣだけです。

クラス(区分)不具合が生じたときのリスク補償の条件での扱い
クラスⅠ(一般医療機器)人体へのリスクが極めて低い承認・許可は問われない
クラスⅡ(管理医療機器)人体へのリスクが比較的低い承認・許可は問われない
クラスⅢ(高度管理医療機器)人体へのリスクが比較的高い承認・許可は問われない
クラスⅣ(高度管理医療機器)患者への侵襲性が高く、生命の危険に直結するおそれがある承認・許可を受けていることが条件

※リスクの説明は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の説明によります。

自家製・準自家製は、事前の承認が要ります

自家製・準自家製(海外の製品を自ら加工したものを含む)の薬剤・手技・手法による医療行為は、事前に引受保険会社の承認を受けていなければ、補償の対象になりません。

弁護士費用保険も、支払われません

美容医療賠償責任保険には、法律上の賠償責任が生じない場合も弁護士費用を補償する、弁護士費用保険が付いています。しかし、承認・許可を受けていない医薬品・薬剤やクラスⅣの医療機器を使った医療行為と、事前の承認のない自家製・準自家製は、弁護士費用保険でも支払われません。

事故が起きてから条件を満たしていないと分かると、賠償金だけでなく、弁護士に依頼する費用も自分で負担することになります。

「成分は承認済み」でも、製品として承認が要る

承認・許可は、有効成分や素材ではなく、使う製品ごとに見ます。

ある有効成分を含む製品が国内や米国で承認を受けていても、同じ成分を含む別の製品が承認を受けているとは限りません。成分や素材が承認品と同じでも、その製品自体が承認・許可を受けていなければ、条件を満たしません。

仕入れ先から「成分は承認済み」と説明を受けた場合も、製品そのものが承認・許可を受けているかを確かめておきましょう。

製品ごとに確かめる3つのこと

使う医薬品・医療機器ごとに、次の3つを確かめておきましょう。

確かめること確かめ方
1. 医薬品か、医療機器か。医療機器なら、どのクラスか国内で承認された製品は、添付文書や販売元で確かめられます。海外の製品は、輸入業者やメーカーに確かめます。
2. 製品として、どこの国の規制当局で承認・許可を受けているか医薬品・薬剤と、クラスⅣの医療機器が対象です。承認・許可を受けた国と規制当局を、輸入業者やメーカーに確かめます。承認の番号や、承認・許可を受けたことが分かる書類があると確実です。
3. 自家製・準自家製に当たらないか薬剤を自ら作る、海外の製品を自ら加工するなど、自家製・準自家製の薬剤や手技・手法を使う場合は、使う前に引受保険会社の承認が必要です。

引受保険会社は、製品ごとに承認・許可の有無を回答していません。確かめた結果は、製品名、医薬品か医療機器か(クラス)、承認・許可を受けた国、確かめた日と相手を一覧にしておくと、新しい製品を使い始めるときや、万一の事故のときに見直せます。

複数の施設で施術する先生は、施設によって使う製品が違うこともあります。施設ごとに確かめておきたいことは、「美容医療で働く勤務医・バイト医師の医師賠償責任保険」で解説しています。

補償の対象でも、説明と同意は欠かせない

補償の条件を満たしていることは、製品の安全性や有効性、使うことが適切かどうかを示すものではありません。

約款では、明らかにインフォームドコンセントなく行われた医療行為も、保険金を支払わない場合としています。治療の方法・効果・危険性などを十分に説明し、同意を得ることは、賠償責任保険・弁護士費用保険のどちらにも共通する条件です。

美容医療診療指針も、スレッドリフトについて、承認された糸がなく未承認品であることなどを十分に説明し、理解を得たうえで施術することを求めています。未承認の製品を使うときは、そのことと想定されるリスクを患者さんに説明し、同意を得ておきましょう。

また約款は、一般的に、また学会などの見識に照らして無謀な医療行為など、明らかに不適切な医療行為も、支払わない場合としています。承認を受けた製品でも、使い方を診療指針などの学会の見解に照らして確かめておくと安心です。

よくある質問

国内で未承認の製品を使った施術は、補償されないのですか?

一律に補償されないわけではありません。美容医療賠償責任保険では、医薬品・薬剤とクラスⅣの医療機器は、厚生労働省・米国FDA・各国の規制当局のいずれかで承認・許可を受けていることが条件です。国内で未承認でも、海外で製品として承認・許可を受けていれば、この条件には当たりません。クラスⅠ〜Ⅲの医療機器は、国内外で未承認でもこの条件には当たりません(ほかの条件はあります)。

有効成分が承認を受けている薬剤なら、補償の対象になりますか?

有効成分ではなく、使う製品として承認・許可を受けているかを見ます。成分が承認品と同じでも、その製品自体が承認・許可を受けていなければ、条件を満たしません。

使う製品が条件を満たすか、引受保険会社に問い合わせられますか?

引受保険会社は、製品ごとに承認・許可の有無を回答していません。国内で承認された製品は添付文書や販売元で、海外の製品は輸入業者やメーカーに、医薬品か医療機器か(医療機器ならクラス)と、承認・許可を受けた国の規制当局を確かめてください。

条件を満たさない製品を使った場合、弁護士費用保険も使えませんか?

はい。承認・許可を受けていない医薬品・薬剤やクラスⅣの医療機器を使った医療行為と、事前に引受保険会社の承認を受けていない自家製・準自家製の薬剤や手技・手法は、賠償責任保険だけでなく、弁護士費用保険でも支払われません。

まとめ

  • 美容医療では、国内で未承認の製品が使われる施術が多くあります。
  • 医薬品・薬剤とクラスⅣの医療機器は、国内外いずれかの規制当局で、製品として承認・許可を受けていることが条件です。クラスⅠ〜Ⅲの医療機器は、承認・許可は問われません。
  • 自家製・準自家製は、事前に引受保険会社の承認が要ります。
  • 条件を満たさないと、賠償責任保険も弁護士費用保険も支払われません。製品ごとに確かめ、結果を記録しておきましょう。
  • 補償の対象になることと、使ってよいかは別の話です。説明と同意を欠かさないようにしましょう。

資料

  • ユニバーサル少額短期保険「美容医療賠償責任保険 普通保険約款」(2022年3月版)
  • 「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」日本美容外科学会会報 Vol.44 特別号(2022年)(Minds ガイドラインライブラリ)
  • 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「医療機器」

※本記事は2026年10月時点の情報をもとにしています。補償の内容と条件は、重要事項説明書・約款でご確認ください。

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執筆者情報

平野 慎二

株式会社Watrayコンサルティング代表取締役平野慎二

株式会社Watrayコンサルティング 代表取締役

資格:AFP/証券外務員1種
1991年 ジブラルタ生命保険株式会社入社
2016年 株式会社Watrayコンサルティング創業
2018年 一般社団法人日本未来設計研究所創業参画

実績:ジブラルタ生命(旧セゾン生命)に入社の翌年、当時最年少で社長賞受賞。入社3年で年収1000万円達成。1993年から10年連続社長杯を受賞するトップ営業マンとなる。入社から25年間、現場、マネージャー職を経験。その後独立してWatrayコンサルティングを創業。

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