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医師の老後を支える年金制度(メリット・デメリットも解説)

2024年3月29日公開
2024年11月13日更新

医師年金のメリット・デメリット

目次

老後の生活を支えてくれる年金は、誰にとっても気になるところです。

一生働いて安定した収入が得られるのであれば良いのですが、そんな保証はありません。

一般的に言えば、医師という職業は収入も高く、自身が望んで元気でいればサラリーマンよりも長く働いて収入を得ることは可能です。

ですが、そうは言っても一定の年齢になった時には、安定した年金という収入減があることで安心した老後生活が送れることは間違いないでしょう。

 

日本の年金制度について

日本の年金が3階建て構造となっていることは、もう皆さんよくご存じのことと思います。

  • 1階部分が20才以上の国民全員が加入する国民年金
  • 2階部分は法人や国・地方公共団体の事業所、常時5人以上の従業員が働いている個人事業所で働く人が加入する厚生年金
  • 3階部分は企業や団体が独自に運営する企業年金など
日本の年金制度(3階建て)

1階部分:国民年金

年金のベースとなる「国民年金」は20才~60才までの40年間(480カ月)の加入で満額の795,000円(2023年度)が一生涯受け取れます。長生きするほどお得です。

ただ、払っていない期間があるとその分が減額されてしまいます。

先生方の中には、学生時代に「学生納付特例制度」を利用された方もいらっしゃるかもしれません。学生納付特例の期間は年金の受給資格期間として計算されますが、年金額には反映されません。

ですが、後から納付(追納)することにより、老齢基礎年金の年金額を増やすことができます。また、社会保険料控除により、所得税・住民税が軽減されますので、余裕が出来た時には追納をされることをお勧めします。追納できるのは10年間という期限がありますので、お早めに。

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2階部分:厚生年金

2階建て部分の厚生年金は、働き方によって加入できる、出来ないが変わります。

勤務医として働く先生は、勤務先で厚生年金に加入することになりますが、勤務先や働き方が頻繁に変わる可能性のある医師は、いったい自分の年金がいくら貰えるのか、キャリアを積めば積むほどわからなくなっていく、という事が言えると思います。

また、老齢厚生年金は国民年金の老齢基礎年金に上乗せされるものですので、厚生年金に加入しない個人開業医の先生は、勤務医と比べると将来の年金はだいぶ心もとないものとなってしまいます

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公的年金は老後を支えてくれる大事なものですが、それだけに頼っていては現役時代のような豊かな生活は望めません。

公的年金では足りない部分をカバーするための、医師の年金制度や私的年金の制度など、早いうちから、自分のための年金を備えていく事が非常に大切です。

医師年金の概要と仕組み

医師年金とは

医師のための年金制度と言えば、日本医師会の「医師年金」です。

医師年金は 日本医師会が発足させた、日本医師会会員のための制度 で、日本医師会の会員で、満64歳6か月未満の方が加入できます。
医師が老後に安定した収入を得るための制度で、医師が働いている間に一定の保険料を支払い、定められた期間後に年金を受給する仕組みです。

医師という職業は、キャリア形成において一般的な職業の人とは大きく違い、様々な選択肢があります。基礎研修期間を終えて、病院で勤務医として働く先生もいれば、海外留学や研究にすすむ先生もいます。開業して個人事業主になる先生も出てきます。

その期間、厚生年金加入者になったり、国民年金加入者になったり、うっかり払い忘れがあったり、未加入期間があったり、と将来の公的年金を満足に受給できるかどうかわからないという先生も多い事でしょう。

医師年金はそんな医師の流動的なキャリア形成による公的年金の不足部分を埋めるために発足した制度です。

医師年金の保険料の種類

保険料は、

  1. 加入者全員が支払う基本年金保険料
  2. 希望者が追加で支払う加算年金保険料

の2つに分かれています。

医師年金の保険料の仕組み

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①基本年金保険料

基本年金保険料は1カ月12,000円で、65歳まで支払います。

1年間まとめて払う年払いだと138,000円、加入時年齢から65歳までの分を一括払いで払い込む方法も選べて、まとめて払うことにより保険料は割安になります。

自分で積み立てた分を将来自分で受け取る、自分用の積立て年金です。

基本の年金は払った保険料の総額に応じて、65歳から「15年保証期間付き終身年金」として受給します。

保証期間中の15年間は年金を受け取っている人が途中で亡くなった場合でも、ご遺族に残りの年数分の年金が支払われます。これが「15年保証期間付き」の意味合いです。

15年の保証期間が過ぎた後は亡くなるまでずっと、毎月決まったお金が振り込まれますので、長生きすればするほどお得になっていきます

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②加算年金保険料

基本の年金だけでは足りない、もっと年金額を増やしたいという場合には、加算年金保険料を積立てます。これは毎月払いは1口6,000円から、また随時払いでは10万円単位で何口でも積み立てることが可能です。

医師年金のメリットとデメリット

医師年金のメリット

  1. 遺族への保障

    医師年金には、加入者が死亡した場合に遺族が年金を受け取ることができる遺族年金制度が含まれています。これにより、家族に対する経済的な保障が提供され、万が一の場合でも遺族が安定した生活を維持できるようになります。


     
  2. 高利率の積立運用

    医師年金は、保険料を複利で運用し、現行の予定利率は年1.5%です(2021年時点)。銀行の定期預金の利率と比べると、非常に高利率であり、長期的に見て大きなリターンを期待できます。また、事務手数料(0.25%)が低く抑えられているため、積み立てた資金の多くを運用に回せるのも魅力です。

    出典:日本医師会 https://nenkin.med.or.jp/about/
     
  3. 柔軟な保険料設定と受給方法

    医師年金は、基本年金保険料に加え、任意で加算年金保険料を支払うことができる仕組みです。加算年金保険料は自由に増減できるため、収入状況に応じて柔軟に対応できます。受給方法も、終身年金として一生涯受け取ることもできれば、確定年金として一定期間で受け取ることも可能です。これにより、個々のライフプランに合わせた年金受給が可能となります。

医師年金のデメリット

  1. 生命保険料控除の対象外

    民間の生命保険会社の年金保険は、年末調整や確定申告の際に、生命保険料控除の中の「年金保険料控除」を最高で4万円使うことが出来て、節税にもなるのですが、残念ながら医師年金はこれが使えません

    一時は多くの先生が加入していた医師年金ですが、現在は制度加入者が約40000人、ただ保険料を支払っている加入者よりも年金受給者が上回っているようです。

    加入者が増えないと、制度の維持にも影響が出てくる可能性もあるでしょう。

医師年金の手続きと受給方法

医師年金の加入手続き

  1. 加入希望の連絡日本医師会 年金福祉課へ連絡します。
  2. 申込書の提出日本医師会から「加入申込書(様式①)」を受け取り、記入して返送します。
  3. 保険料の支払い申込書の受理日によって、振替開始日が決まります。基本年金保険料を口座振替または振込で支払います。
  4. 加入完了初回の保険料納入を確認後、「加入のお知らせ」と「日本医師会年金規程」を送付します。

加入資格:

日本医師会会員であり、64歳6カ月未満の方。加入は年金受給権が発生する満65歳まで条件を満たす必要があります。

詳細は日本医師会の加入手続きページをご確認ください。

医師年金の受給方法

年金の受取方法は受給開始時に4つのコースから選べるようになっております。
以下がその4つのコースです。

 

  1. 15年保証期間付終身型(B1コース)

    このコースでは、基本年金と加算年金の両方を一生涯受け取ることができます。受給者が65歳から年金を受け取り始め、保証期間の15年間は同じ金額が支払われます。保証期間終了後も、受給者が存命である限り、同じ金額の年金が支払われ続けます。このコースは、長寿のリスクに備えるための安心な選択肢です。


     
  2.  5年確定年金型(B2コース)

    このコースでは、基本年金は一生涯受け取れますが、加算年金は5年間で全額受け取ります。つまり、65歳から70歳までは基本年金と加算年金を同時に受け取り、70歳以降は基本年金のみを受け取ります。短期間で加算年金を使い切るため、早期に大きな資金が必要な場合に適しています。


     
  3. 10年確定年金型(B3コース)

    このコースでは、基本年金は一生涯受け取れますが、加算年金は10年間で全額受け取ります。65歳から75歳までは基本年金と加算年金を同時に受け取り、75歳以降は基本年金のみを受け取ります。加算年金を10年間にわたって受け取ることで、長期間にわたる資金計画が立てやすくなります。


     
  4. 15年確定年金型(B4コース)

    このコースでは、基本年金は一生涯受け取れますが、加算年金は15年間で全額受け取ります。65歳から80歳までは基本年金と加算年金を同時に受け取り、80歳以降は基本年金のみを受け取ります。長期的な収入計画を立てるための選択肢として最適です。

     

これらのコースは、それぞれのライフスタイルや将来の計画に合わせて選ぶことができ、医師の多様なニーズに対応しています。詳細は公式サイトを参照してください。

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執筆者情報

後藤 淳子

株式会社Watrayコンサルティング 専務取締役

資格:AFP/証券外務員2種/DCプランナー2級
2009年 AIGエジソン生命保険株式会社
2016年 株式会社Watrayコンサルティング 専務取締役
2018年 一般社団法人日本未来設計研究所 代表理事

実績:AIGエジソン生命保険株式会社在籍時には、MDRTや社長杯など業界および社内表彰多数。

NISA、iDeCo、つみたて投資、企業型DCなどライフプランに軸にした金融商品全般のご相談をお請けしています。

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